ロジスティクス共通/インコタームズ のバックアップ(No.1)
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- 1 (2014-06-26 (木) 11:03:40)
- 2 (2015-12-18 (金) 12:38:27)
超ざっくり言うと、取引条件のこと。
概要 †
国際商業会議所(ICC)が貿易条件の解釈に関する国際規則として制定した規準のこと。 実はInternational Commercial Termの略語であり、正式にはInternational Rules for the Interpretation of Trade Terms、日本語では取引条件の解釈に関する国際規則となる。
一般的な定義 †
ざっくり言えば、買主と売主の費用負担の範囲と貨物の危険負担の範囲を規程する。
- 費用負担 「Cost(貨物引渡までにかかる費用)」、「Freight(運賃)」、「Insurance(保険料)」の負担範囲のこと。
- 危険負担 貨物が損傷するなどの危険が生じた場合における、売主の再調達義務の負担範囲のこと。
なお、所有権の移転については特に規程しておらず、これは信用状取引においては、B/L*1の引渡しによって、売主→買取銀行→発行銀行→買主のように貨物の所有権が移転するためである。 FOBの場合で言えば、貨物が本船舷側側の欄干を通過した時点で貨物の危険負担は買主に移転するが、買主の手元にはB/Lが届いていないため、所有権は移転していない。
具体的な内容 †
費用負担と危険負担については、具体的には下記に分類される。
C-term †
- 費用負担 売主が運送契約を締結し運賃を支払う。引渡後の費用は負担しない。
- 危険負担 船積後あるいは運送人への引渡し後の危険は負担しない。
- 実際のIncoterms CIF、CFR、CPT、CIP
D-term †
- 費用負担 売主が、仕向地までの物品輸送に必要な一切の費用を負担する。
- 危険負担 売主が、仕向地までの物品輸送に必要な一切の危険を負担する。
- 実際のIncoterms DDU、DDP、DAF、DES、DEQ
E-term †
- 費用負担 売主が、輸出国内の自社工場などで物品を引渡すため費用は負担しないことになる。 が、例えば四国全土が工場の場合は瀬戸大橋を渡るまでの新幹線代とかバス代なんかは出るのかな?
- 危険負担 自社工場などで物品を引渡すため、実質負担しないこととなる。 が、積み込みで破損してしまったりする場合、売主が泣き寝入りすることになるのかな?
- 実際のIncoterms EXW
F-term †
- 費用負担 売主は、積み地まで或いは船積みまでの運送費用を負担する。船の横まで運んだり積んだ後の費用は買主が負担する。
- 危険負担 売主は、積み地まで或いは船積みまでの危険を負担する。船の横まで運んだり積んだ後の危険は買主が負担する。
- 実際のIncoterms FOB、FCA、FAS ちなみに、一言にFOBといってもアメリカの古い取り決め*2では6種類のFOBがあるらしい。
SAPでの定義 †
SAPにおいては2つの項目に分かれる。
インコタームズ1 †
こっちが一般的な定義と概ね一緒の方。 但し、税決定や諸掛費目の判定とするなど「商いの取引条件」以外の用途でも活躍する。
インコタームズ2 †
こっちには「どこで」を保持する。 例えば港で負担が移転する場合に明記しなければどうにもならんので、ここに書く。
が、普通のテキスト項目なので、NaritaとNarita Airportなど同じ意味でも表記が違うという現象が起こり得るので注意。 この場合は出荷伝票をまとめることができない。
計上基準について †
詳細は計上基準に譲るが、債権や債務の計上をどのタイミングで計上するか?という議論がある。(在庫は荷動きに従うのみなので、議論の余地なし)
会社のルールとして出荷基準や着荷基準という考え方があるが、これは実務に即しておらず、本来的には危険負担に基づいて、つまり取引準拠、インコタームズ準拠で記帳されるべきであると考える。 例えばFOBで売るなら、売りは倉庫を出たタイミングで立てるのではなく、船積み日とすべきということ。
これは期ずれによって売上とCOGSの期間帰属が正しくなくなってしまったり、取引先の締め日時点で相互の残高確認結果が異なったりするためである。
これが実現できれば会計処理は非常に健康になると言えるがネックがふたつあり、ひとつは販物関係者の殆どが会計的な目線を持っておらず、これを軽視しがちだということ。
もうひとつは、例えば契約に準拠しB/L Dateや通関日で計上するビジネスケースにおいては、その日付が月中なのか跨いで月初なのか確認が遅れがちだということ。 これは取引先からの連絡がトリガになる場合に多く、月を跨いで月初に書面は届くが日付は月末だったというパターンとなる。
これがどうなるかというと、前月の締めを1〜2営業日遅らせたり会計期間を締めずにいる時間が長くなってしまったりする現象を意味しており、この問題の解決はなかなかeasyでないと言える。
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