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SAPの共通用語/ERP

Last-modified: 2015-08-07 (金) 16:12:00

Enterprise Resource Planningの略で、日本名は企業資源計画



概要

企業全体の経営資源を統合的に管理することで有効活用し、経営の効率化を図る手法・概念のこと。

広義のERP

源流はMRPであり、こちらはモノの部分を指すが、これをヒトとカネも包含し適用したのがERPであると言える。

ERPが一般的に扱うものは、企業における製造物流販売調達人事財務会計、それらを包含する管理会計である。

狭義のERP

これらを実現するために基幹業務の情報管理を支援するのが統合型(業務横断型)ソフトウェアであるERPパッケージであり、SAPもその一つ。狭義でのERPはこちらを指す。

昔は月に一度しか見られなかったりバッチ処理でかき集めないとデータが足りなかったりしたらしいが、原材料を購買し、商品を生産し、注文を受け、出荷し、請求し売上を計上するという企業活動をリアルタイムに把握することが可能となる。

ERPパッケージを利用するにあたっての基本

ERPは、定食の様なものである。 では、定食とはなんであるか?

BPR

定食そのものを選ぶことはできても、一汁一菜の構成に文句があるなど言ってはいけない。 つまり、システムの利用の仕方は、「システムで出来ること」に合わせるというスタンスが基本となるということで、気に入らないからといって残しものをするのは勝手だが、程度が過ぎると「何故単品で頼まなかった?」という話になる。

また、BPRとは既存業務 vs 新システムの機能だけを指すものではない。 当初の目的が陳腐化してしまっていたり新システムでは他の業務で代替されることになるプロセスを整理し、「無駄な仕事をしない」「もったない時間の使い方をやめる」このとの推進でもあるのだ。

Configuration

とは言っても、ご飯を少なめにしたり選べる小鉢の中から選択したりという選択件はある。 つまり、提供されている流れの中で提供されている選択肢の中から利用法を見出しなさいということ。

これは俗に言うパラメータ設定を指す。

アドオン

また、大食いの人はご飯を大盛りにしたり、追加で一皿頼んだり、またトッピングを注文することもあるだろう。 これがアドオンであり、機能やレポートなどの不足部分を追加投資して補うというもの。 お金と期間をかけて山盛りの機能を用意するユーザも少なくないが、メタボリックにならないよう是非注意したいもの。 導入後しばらくたったら、「この機能?誰も使ってないよ」という話はよく耳にする。

なぜERPパッケージを導入するか?

二つの観点から解説したい。

聞こえの良い理由

リアルタイム性の追求

基幹業務の統合が達成されると、業務とデータが一元的に管理できるようになる。 そのため、マネージャや経営層は経営状況や業務状況を随時把握できるようになり、経営判断や意思決定を即時実施できるようになる。

昔は粒度も確度も違うデータを月一でガッチャンコしていたため、そもそもの品質やレポートができたころには情報の鮮度が落ちていたわけだが、これが解決されることの価値は決して低くない。

但し、その前提となるのは、システムへの入力を月末にまとめてやったり、伝票ステータスの管理をおざなりにしたりしないことである。 当たり前の話だが、システムを夢と魔法の箱だと思っているオッサンは少なくないため、こういった当たり前のことも啓蒙・誘導していく必要がある。

業務の統合と標準化

従来は、購買・在庫・受注・生産などの用途別に開発され、利用されてきた。

部門別のニーズに合わせているといえば聞こえは良いが、事業部ごとに用意されているケースも少なくなく、個別再適しているため使い勝手は良いのだが、全体で見るとどうだろう。 多重入力もあるし、それを原因とするそれらの不整合も起こりえる。業務と業務が分断され、組織を横断して一貫する連携を築くことの妨げにもなる。

ERPパッケージを利用することにより、商品や事業が異なっていても同じ業務フローへの標準化を推進することができる。*1

瑣末な例だが、配置換えがあった場合にも利用の仕方に変わりは無いわけで、マニュアルを一元化できたりキャッチアップの時間が節約できたりと、節約できる時間は馬鹿にならない。

また、何かやろうとすると部署ごとの長老みたいな人間をかき集めなければならない手間が省けたり、キーパーソンどころか唯の担当者が辞めただけで情報が永遠に消失するリスクを背負わずに済むことは、リスク管理上も多大な恩恵がある。

グローバル対応

多言語・多通貨などの多国籍環境でのシステム構築および運用ができ、海外進出や世界規模でのビジネスの拡大に対応することができる。 また、ハンドメイドでは対応が遅れたり最悪対応不可能だったりする世界各国の会計基準や法制度にも適応することができる。

ぶっちゃけた理由

レガシーが限界

もちろんポジティブな理由も勘案されるが、企業統合・プロセスの変更・組織変更などについていけないという消極的な理由も少なくないのではないだろうか。「現行だと、もう持たない」、と。

オープン系が発展する中で汎用機が衰退しているのも、不安を増大させる状況の一つかと思う。

同業他社や著名企業が入れたから

最近はさすがにあまり無いだろうが、ホリエモンはこれでライブドアに導入したと聞く。 SAPを入れているということが何らかのステータスになるなら悪くないのかもしれないが、導入を目的にした導入はサービスレベルという概念が存在しないため、顧客が満足する結果には到底ならない。

当たり前の話だが、システムは目的であり手段ではない。 導入自体を目的にしてしまった場合は、現状の問題点が如何に解決されたか?新システムで何が得られたか?ということが置き去りになるのだが、導入後にユーザは必ずこれを言い出す。 そうなってからベンダー側が当初目的は云々と言い出したところで、まったくの無駄である。 こうなると、結局どちらもハッピーにならない。

ERPパッケージを利用するにあたって障害

高い

ERPパッケージ、というかSAPなんだけど。。*2

中小向けは何千万らしいが、基本的にSAPを導入するような規模の企業であれば数億で済めばいい方で、最終的に数十億~数百億かかったというプロジェクトも聞く。

稼働後は稼働後でクソ高い保守料とライセンス料を絶え間なく払い続ける羽目になるため、それに見合った価値を見いだせる場合にのみ導入したらどうか。

自分の仕事を減らすようなことを言うのもアレだが、新規導入だけに目を向けているから「もうパイがない」なんて状態になるわけで、長い目で見ればユーザから確かな評価を頂き、継続発注の運びになることがベンダにとっても好ましいのではないだろうか?。

別に利益が出る訳じゃない、という人がいる

そもそもERPは利益を出すためのシステムではないし、そんな方法があったら八百屋さんだって魚屋さんだって導入するだろう。

そもそもERPの真骨頂は、標準化、つまり皆が同じやり方で仕事をできるようになることと、可視化、つまり権限を持つ人間が判断するに足る材料をリアルタイムにレポーティングできることである。

これによって経営判断が下されたり、可視化されたコストを削りに行ったりはできるが、システムにできるのはそのための情報提供に過ぎない。

システムにない情報も含めて、最終的な判断はあくまで人間がするもの。そもそも論点がおかしいのだ。



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*1 余談だが、これを実現するためのアドオンは決して悪ではない
*2 他のパッケージも関わったが、数百~せいぜい大台くらいがいいとこだった